logo

2丁目タイムズ

最新情報
アート

「ガラスの祈り〜石川県能登島ガラス美術館名品」展(2丁目タイムズ 2025.2月号)

2025.02.26

阪神・淡路大震災30年 能登半島地震復興支援特別企画〜「ガラスの祈り-石川県能登島ガラス美術館名品」展が1月26日まで六甲アイランドにある神戸ファッション美術館で開催され、鑑賞して来ました。能登島ガラス美術館に収蔵されている中国清朝時代の工芸作品から現代アートまで、30点が展示されていました。勿論、私共のストリートミュージアムにも収蔵されているやはり石川県の扇田克也先生の作品“HOUSE/RAIN”と“A HUNDRED HOUSEs202Q/EQ1.1”の2点も展示されていました。他の作家さんも第一線級の作家さんばかりで、例えば佐々木雅浩氏の「樹海」は表現するのが難しいながら、アメーバーを想像させる形状をしており、有機的な表情を作品に取り入れたもので、大変ユニークであり、その形にも色合いにも大変興味を引かれました。上前功夫氏の「border/seed of moon」は古くより憧憬の対象であった月をテーマにしており、作品は月の表面を想像させ、半透明で、観ている者の視線を表面から内部に向かって導き、ちょっとした視覚の混乱を覚えさせるような感覚になりました。興味深いのは作品の素材がブラウン管の再生品だったところでした。

樹海
樹海
border/seed of moon
border/seed of moon
トゥーツ・ジンスキー Last Dance
Last Dance

アメリカ国籍のトゥーツ・ジンスキー氏の作品、「Last Dance」は形状が歪んだ花瓶のようでもあるが、色彩が素晴らしい。作者はアフリカでの強烈な色彩体験を経て、作品に華やかで、抽象画の様な色彩表現を取り入れています。そして小林貢氏の「芽吹くころ」(When the Buds bloom)は切断された幹から新しい芽が生まれ、伸びていくような様が透明なガラスで表現されています。制作年が1984年なのですが、地震と豪雨でズタズタになった能登地方が新しく生まれ変わる様を示唆しているのかと思わせる印象がありました。

最後にもう一つ印象に残った作品は藤田喬平氏の飾筥(かざりばこ)シリーズの「紅白梅」という作品で、平安時代に見られるような美しい装飾の施された六角形状の筥なのですが、とてもガラスで出来ているとは思えない素晴らしい作品でした。
今回、見逃された方は現在、休館中の石川県能登島美術館が再開される折には足を運んででも観る価値は高いですから、是非ご覧になって下さい。

石川県能登島ガラス美術館 HP
https://nanao-af.jp/glass/