街の関係者でマンドリン演奏家の佐上善昭氏が10月20日、トアロードウエストにあるロッコウマンホールでソロリサイタルを行いました。昨年に引き続き、音楽鑑賞にはもってこいの時期を選んでの演奏会です。今回の演奏会の副題は「Le Passage」となっています。フランスでパッサージュと言えば歴史のあるガラス屋根がある細い道の商店街を指すのだそうですが、ここでは「小径」を意味します。「次はどんな響きや音色に出合えるのかな…」とワクワクしながら「音の小径」を聴き手に逍遥(ショウヨウ)して頂くのがテーマになっています。そして私にとっては初体験で少々驚いたのが視覚・聴覚以外の五感でも「音の小径」を楽しんで頂くために、香りの「試香紙」が用意されていたことです。その紙に今回はGuerlainゲランの“HABIT ROUGE PARFUM”が使われ、その香りでフランスの「小径」を自身が歩いている様を思い描きながらマンドリンの音色に聴き入るといった大変“粋”な演奏会でした。この香水は最初に柑橘類のくぐもった爽やかさから、徐々にヴァニラやアンバー、レザーの吐息のような深く渋い甘さに落ち着いていく、といった変化に富む特性があり、それこそフランスの全く知らない草花に覆われた小径や、通りかかったPassage couvert(パッサージュ・クベール、ガラス屋根の商店街)で感じる香を想像させ、そこを“逍遥”している気持ちにさせます。演奏曲は日本人の作品や昨年紹介したマンドリンの大家、カラーチェ、そして音楽的知識に乏しい私にでさえ聴き覚えのあるR・シューマン作曲の「トロイメライ」を含めて全12プラスアンコール曲でした。佐上氏は「マンドリンという小さな弦楽器一丁で、音が味になり香りとなり、そして情景にもなる、そんな共感覚にも似た音世界をお楽しみ頂ければ幸いです」という言葉で結んでおられます。
佐上さんのマンドリンを一度聴いてみたいと思われた方は12月15日に北野のバー「ヤナガセ」でお酒やソフトドリンクを楽しみながら目の前で演奏が観れる機会があります。ご興味のある方は佐上氏の活動をフォローできる“lit.link”というYouTubeやInstagramへのリンクをまとめたポータルサイトがあり、ここから佐上氏の活動情報をご覧頂けます。こちらを是非チェックして下さい。
■utakata_no_kaori 音と香
https://lit.link/utakatanokaori
■バーヤナガセ:神戸市中央区山本通1-1-2 Tel.078-291-0715
当日は14時半開場/15時開演